椎名光弘殿、金沢信夫殿　　　　　　　　　　　　　　　　平成16年8月31日　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　遠藤俊一

　39年来のプランが実現した
　　 (面河渓谷・水遊び）

　残暑お見舞いもうしあげます。
　いかがお過ごしですか。60過ぎの人生プランははじまっていますか。

　7月に愛媛県松山市で全日本卓球選手権大会が開かれた。昨年、わが東信電気卓球部はベスト16だったので、
今年はシードチームとして参加した。私は総監督としての立場で参加した。結果はまたしても準優勝チームと
あたりベスト16に終わった。まあ、来年のシードをとったからいいか。

　大会とはべつに私は楽しみにしていたことがあった。私ともう一人、日程を1日余分にとって石鎚山・麓の
面河渓谷に立ち寄ることだった。旅好きの私は周りの人たちにも公言してこれからの数年間で夢の3箇所廻りを
したいといっていた。
1　雨の大台ケ原・そぞろ歩き　2　雪の五能線・だるまストーブ　3　面河渓谷・水遊び　である。
3の面河渓谷には私の大学時代へのノスタルジーがある。

昭和40年8月。椎名光弘、金沢信夫と私の3人で四国旅行をした。私は彼らより1日遅れて出発した。
たしかレギュラー合宿のためだったと思う。そこで待ち合わせ場所は宇和島駅とした。私は松山城をみて道後
温泉で1泊して宇和島に向かい彼らと合流した。
彼らに昨日はどうしていたんだと尋ねた。四国最高峰・石鎚山に上り、麓におりて面河渓谷で水遊びをしたという。
金沢がめがねを水の中におとし、椎名が親切に水の中にもぐり、探し、とってくれたと金沢がうれしそうにしゃべった。
（後に金沢より抗議のメールあり、めがねを落としたのは岡山より来ていた父娘の老父だったそうだ）
その後我々は、宇和島湾海水浴、滑床渓谷、四万十川、中村、足摺岬・番屋小屋，高知、桂浜、とまわり帰郷した。
仲のいい3人の良き旅だった。だから、なおさら私には空白の1日、彼等が行ったところにあこがれた。四国最高峰・
石鎚山は無理でもせめて面河渓谷水遊びだけはやってみたい。それが夢の1つとして近年富みに思うようになっていた。

平成16年7月25日、国民宿舎“面河”に着いた。落雷のための停電が迎えてくれた。それで風呂もすぐ入れず、
しかたないから宿でごろごろした。面河渓谷水遊びは翌日だ。
翌日快晴。水着に着替えて面河渓谷に入った。
ところが、アブの大群。私めがけて襲ってくる。払いのけても、払いのけても、襲ってくる。と、と、とりあえず
写真はとったか！　ほうほうのていで逃げ戻った。
とんだ面河渓谷水遊びだったが、私には時間は問題ではなかった。ついに、面河渓谷で水に入ったんだ。なにか気持ち
には充実感がいっぱいだった。

それでも、おかげで時間が余ってしまった。時間があるから石鎚山の方に行ってみるか。レンタカーで向かう。
登山口は国民宿舎“石鎚山”のわきにあった。
ちょっと散歩するかと歩き始めた。私はアロハシャツ。彼はサンダル履き。
しばらく行くと案内板がでてきた。石鎚山山頂まで3.6キロ。「3.6キロというとどのくらいの時間だ？」
「平地だと800メータで10分だから45分。倍かかるとして1時間半。2時間みておけばいいか。」「じゃあ、行くか」
　歩き始めると色々な人たちと出会った。しかし、みんな十分な登山姿。年配の人が多い。
しかも石鎚山といえば有名な信仰の山。みんなが私のアロハと彼のサンダルを見つめる。
そのうちに気がついた。我々はなんにも持っていない。ついに我慢できず、下山の人に聞いた。
「あの〜、頂上に売店はありましたか？」「ええ、ありますよ」元気をだして山頂まで上り、水をむさぼり飲んだ。

　こうして私の39年来の夢が実現した。しかも石鎚山まで征服してしまったんだから。君らに追いついたよ。
頂上で絵葉書を買おうとしたんだ。いいのがなかった。下山して、国民宿舎“石鎚山”で絵葉書を買おうとした。
いいのがなかった。空港で絵葉書を買おうとした。いいのがなかった。
　まあ、いいっか。手紙でも出そう。写真もつけて。

　てなことで、こんな文になりました。昔を思い出すね〜。